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2022年9月18日日曜日

かつては弱小の代名詞的存在だったヒューストン・アストロズ(HOU)は、球団売却後に着々と実力をつけていき、今では立派な強豪球団。そのHOUであるが、2022年のトレード期限直前には補強ポイントが4つほどあった。それは

1. キャッチャー(マーティン・マルドナード、ジェーソン・カストロ、コーリー・リー)
2. ファースト(ユリエスキ・グリエル、J.J.マティエビッチ、アレドミス・ディアス)
3. センター(チャズ・マコーミック、ホセ・シリ、ジェーク・メイヤーズ、マウリシオ・デュボーン)
4. 左の中継ぎ(ブレイク・テイラー※8月初め頃はIL入り、パーカー・ムシンスキー)

である。

このうち、1ではクリスチャン・バスケス、2ではトレイ・マンシーニ、4ではウィル・スミスをそれぞれトレードで獲得して手頃に補強した。3については、ホセ・シリがトレードで放出された。センター1番手のマコーミックが9月15日(現地)終了時点で、104試合353打席にたってwrc+110、fWAR1.7の好成績。プロスペの層が薄い事情もあり、無理して補強する必要性はなかった。


ふつうに考えれば、バスケスとマンシーニをレギュラーで使って、グリエルとマルドナードは控えに回るのだが、そうかと思いきや・・・

なんとトレード後も、2人ともスタメンで出続けている。そこで今回は、トレード後のグリエル、マルドナードの起用パターンを分析して、原因を考えていく。以下、ことわりのないデータは8月4日~9月14日(現地)の試合が対象。


1. ユリエスキ・グリエル



成績は

34試合146打席33安打1本塁打16三振9四死球 打率.244出塁率.288OPS.591 wOBA.263wRC+70

ということで、試合数と打席数からスタメン出場を続けたのがわかる。この打撃で一塁手ということで相当チームの足かせになっているのが現状。今季は打撃に加え守備も悪くOAA-9。首位打者とGGを取る活躍でリーグ優勝に貢献した去年とは一転、fWARは-0.7という惨状だ。

さらに驚くべきことに、このグリエルは期間中の約3分の2の打席で2番打者として出場している

こちらでYuli Gurrielと書いてあるところを見ればわかるが、期間中、2番としての打席数は97。全体(146打席)中の66.4%は2番だったということになる。

2番に小休憩を挟む打線を組むケースは今どきNPBでも少なくなってきたが、名将ベーカー監督でも加齢によるボケは避けられなかったか。

ちなみに、マンシーニは期間中120打席に立ち、OPS.701、wrc+100の成績。ファーストでの出場はたった3試合11打席しか無く、レフトやDHでの出場が大半だった。



では、何故グリエルが試合に出ているのか?

これは単純に、故障者が出て結局ポジションが空いたから

もともとIL入りしていたマイケル・ブラントリーに加えてディアスもIL入り(8月18日~9月14日)し、DHとレフトをアルバレスとマンシーニで回した結果、残ったファーストにはグリエルが入るよりなかった。

それでも、わざわざ2番に置く必要は無いだろう。ということは、やはり長年の功による贔屓目も入っていることは否定し難いのではないか?

ディアスがILから復帰したことによる、レギュラーシーズン残りの試合やPSでのグリエルの起用を見ていくことでこの答えのヒントが浮かんできそうだ。注目していきたい。


2. マーティン・マルドナード



成績は

22試合73打席11安打2本塁打19三振7四死球 打率.169出塁率.247OPS.539 wOBA.243wRC+55

ということで、全試合(37試合)の過半数に出場している。2022年のfWARは0.0で、守備でもDRS-2など良くはない。

では、バスケスの方はどうかというと、こちら参照して63打席でOPS.556、wRC+63と実は結果を残せていない。

つまり、トレードできたバスケスの調子が上がらないから、マルドナードの出場を減らしにくいという残念な状態なのだ。

また、キャッチャーというポジションの投手との緊密な連携を取ることを求められる性質上、長年バッテリーを組んできたキャッチャーをシーズン途中で変えにくいという事情もある。

このような状況は簡単になんとかなるものではない。今シーズン一杯は、このままPSまでマルドナードとバスケス併用の形が続くと予想する。


補足・・・ウィル・スミスは出場を続けている。ブレイク・テイラーはディアスと同日にILから外されたが、こちらはAAAに送られた。



今回のまとめ

トレードでファースト、キャッチャーを獲得してもこれまで通りグリエル、マルドナードがスタメン出場を続ける理由は、

・グリエル・・・故障者が出てポジションが空いた
・マルドナード・・・バスケスの状態が上がらない、キャッチャーをシーズン途中で変えにくい

である。

ただし、2番グリエルは忖度の可能性が大いにあるので、今後の起用を注視して判断。